第3回 Hair Research Societies
インターコンチネンタル・ミーティングのまとめ

2001年6月13-15日、東京での Hair Research Societies の第3回インターコンチネンタル・ミーティングに参加できて光栄であった。このミーティングは3年ごとに開かれており、毛髪生理学および病理学へとつながる最先端の基礎研究に触れる最高の機会である。

17を超える国から、170を超える論文要旨がこの会のために寄稿された。多くの論文は専門的な部分もあるが、髪の毛の成長をコントロールする非常に複雑なマイクロおよびマクロの生体系の発見において、著しい進歩があったことを知ることができ有益であった。

1998年にワシントンD.C. で開かれた、当学会の第2回大会に参加したとき、幹細胞研究がちょうど盛んになりだした頃だったが、人間頭皮の毛包幹細胞の位置に関する論議は、今回でもまだ結論は出なかった。毛包幹細胞が重要なのは、これが髪の毛の成長サイクルを主にコントロールするものであり、細胞性表皮をメンテナンスすることを助け、腫瘍発生の目安となるからである。

今回の東京大会では、毛包幹細胞が毛包の一番下の丸くふくらんだ部分に、主に位置することを、いくつかの発表論文が後押ししていた。

ペンシルバニア大学とニューヨーク医科大学の皮膚科チームによる「毛包幹細胞:過去、現在、未来」と題された発表では、毛包のふくらんだ部分が、毛包だけでなく頭皮の成長をも促す可能性を秘めた皮膚ケラチン生成幹細胞の主な容器であることを示す、初めての証拠を提示した。この発見は、毛髪生物学、表皮の長期メンテナンス上で重要は指針となるであろう。

上皮細胞間充織信号は髪の毛の成長と脱毛を理解する上で、重要な意味合いを持つ。この分野は、数年前から熱を帯び始め、現在では、研究者、開業医、臨床医および事情通の患者が、高い興味を示している。

2つの基調講義、「男性型脱毛症を解決、調節する要素」「歯の発達の基礎分子と、毛髪育成での信号システムとの関係」が、様々な皮膚層間で相互作用する進行中の分子を理解する重要性を証明していた。

頭皮の乳頭状の突起細胞は、特化した間充織細胞であり、髪の毛に相互の信号を送り込み、毛髪の延命、周期的な再生を維持する。この信号分子の正確な活動、またメカニズムを理解することが、将来の挑戦となるであろう。

この信号分子の方向を解明、効果のある合成物を分離、また頭皮の乳頭状の突起細胞内の実際の目標を識別することができれば、円形脱毛症や男性型脱毛症の斬新で、非常に有効な治療法となるかも知れない。

(ところで、アンドロゲン性脱毛症という用語であるが、いろいろな学会のプレゼンテーションや議論の中でも常に使用されているように、この論文内でも、男性型脱毛症のことを男性、女性に関わらず、アンドロゲン性脱毛症と呼ぶことにする)

すでによく知られている治療法の、更新情報もあった。メルク研究所のK・コーフマンは、フィネステライドによる5年間の治療が生え際とプラシーボ(対照薬)と比較した場合、すべての評価において、頭頂部の毛髪改善に結びつくことを反芻した。(p<0.001対プラシーボ)

Pharmacia 消費者ヘルスケアのJ. Rundegren および R.J.Trancik は、外用ミノキシジル溶液を使用した11,000人以上の患者のポストマーケティング調査を発表し、外用ミノキシジルが5人のうち4人のユーザーの抜け毛を安定させることを証明した。このデータは、基線から比較して、健康な髪の毛の増えた数、変わらなかった数を基にして、計算された。

韓国からの研究も、経口フィネステライドと外用ミノキシジルの併用が単体での使用よりもアンドロゲン性脱毛症に効果があることを再確認するものであった。

一方、モスクワ医科大学からの報告では、患者の中には、アンドロゲン性脱毛症の発生から30ヶ月が経過した場合、毛包に修復不可能な傷跡を残すことがあると発表した。結論として、彼らは、アンドロゲン性脱毛症の兆候が出始めたら、直ちに治療をするよう結論づけた。

フィネステライドおよび外用ミノキシジルの長期使用の結果に予期される続報に加えて、アンドロゲン性脱毛症のための選択肢および有望な新しい処理に関する報告書があった

プロサイナイディンズは濃縮タンニン酸の一種で、りんごの中に含まれ、ハツカネズミの毛髪成長を刺激することが確認されており、アンドロゲン性脱毛症の治療法となる可能性も高い。

大豆油およびその派生物は、ハツカネズミの脱毛感受性を修正するために示されており、エストロゲン依存するメカニズムおよび(または)扇動的なレスポンス活動の調整により人間にも適用可能かもしれない。

女性ホルモンのように本質的に不活発な17αエストラジオールは、ヨーロッパの男性、女性の脱毛の外用治療法として規定され、分離された人間の毛包中のアロマテイス活動を引き起こすことが示された。この異性核はアンドロゲン性脱毛症への安全で有効なアプローチとなりうる。

重要なニューロペプチドであるP物質と、カルシトニン遺伝子に関連するペプチドの併用が、生体外実験では、人間の毛髪成長に対する肯定的な結果を出した。

韓国の民間薬の中で使用されている8つのハーブエキスの混合物は、被験者と実験動物の両方の、毛髪成長に刺激を与えた。

一方、中国の伝統薬として広く使用されている Sophora Flavescens Aiton の乾いた根から抽出されるエキスは、毛包器官の成長期活動を活発化することが発見されている。

哺乳動物で最も豊富な硫黄アミノ酸であるタウリンは、イオン・チャンネルを開くことにより毛包のまわりの細胞成長に影響する可能性がある。

韓国からの別の研究で、カプサイシンは成長段階を早く引き起こすだけでなく、毛髪成長に対する一定の影響を保持することが提示された。それは、つまり、カプサイシンとミノキシジルの併用が髪の毛を早くしっかりと生やすことができると結論づけられる。

むだ毛に対する問題も議論された。13.9%のエフロニチン塩酸塩クリーム(Vaniqa)の効能および安全性が検証され、満足のいく結果が得られる。興味深かったのは、スペインのバルセロナの大学で、極度のパルス光が脱毛の安全で有効な方法として使用されたことであった。さらに、休止期を延長する新たな方法として、東京の日本医科大学の研究者は、ハツカネズミの足に刺激を与えることで成長期への移行を遅らせたと報告した。

女性の脱毛症に、人体に含まれる鉄分レベルの重要性をとく発表もいくつか行われた。Oregon Health Sciences University の研究では、休止期の大量脱毛に悩まされる更年期前の女性グループの72%が、鉄分の欠乏が原因となっていることを裏付けた。

18歳未満の患者に対して、これまであまり関心を向けられていなかったが、若い男性の中にもアンドロゲン性脱毛症がよくあるという発表も行われ、15歳から17歳の男性の14〜17%に、アンドロゲン性脱毛症が見られると報告された。

10歳から18歳までの患者、448人を治療した84人の臨床医のデータでは、ミノキシジル外用液が、安全かつ有効で、耐性があると示唆していた。

残念ながら、多くのプレゼンテーションは形態論、方法論および仮説に関するもので、この簡潔な要約で論じるには、専門的、技術的すぎる。また円形脱毛症に関する発表もいくつか行われたが、これはまた違うレポートで書くことにする。

最後に、髪の成長サイクルに、成長期、退行期、休止期に加えて、exogen 期という新たな用語を引用した発表者がいた。exogen 期とは、成長期における脱毛段階で、毛幹がユニークである。

第3回 Hair Research Societies インターコンティネンタル・ミーティングでは、たくさんの研究結果が発表され、さらに多くの時間をかけて、研究、究明される必要がある。これはまた、毛髪成長の生理学を理解するために続行して探索していかなければならない挑戦でもある。2004年にドイツのベルリンで開かれる次の会合では、さらなる研究成果が発表されることを楽しみにしている。では、そこでお会いできますように。

Richard Lee, M.D.
Consulting Physician
Regrowth, LLC
www.minoxidil.com